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ブラッドノック 1 [ローランド]


長い時間を過ごした果てに
エディンバラを辞す時がやってきました。
再会を願い数杯を飲み干した僕らは、
長く楽しい時間を過ごした親切な友人たちとお別れをしました。
僕らは鉄道の駅で最後の挨拶を交わし、
馬車の後部の窓越しに友人たちが手を振り、
実りのある旅を祈ってくれました。


「さらばエディンバラ あなたが抱く美しいすべてのもの
 あなたが谷に抱く宮殿 空中の城郭
 岩山の頂上 草の茂る丘 そして露わな山々
 美しいものすべてを並べたてたら
 私の話は尽きることがない

 いざさらばエディンバラ 私たちの幸ある場所
 さらばエディンバラ カレドニアの女王
 日が昇るたびにエディンバラに繁榮あれ
 時の移ろいが止むまでエデインバラに祝福あれ」

 「コーラー・ヘリング(新鮮なニシン)」の作詞者

 
「近代のアテネ」を後にし、
僕らの楽しい旅も終わりが近いと思うと
とても名残惜しい気持ちになりました。
数日後には(南部の4箇所の蒸留所を訪問したら)、
美しいスコットランドを後にして
興味の薄い場所を旅しなくてはなりません。


旅の思い出に耽るには馬車はあまりに混み合っており、
人の間に人がぴったりとはまって隙間がありませんでした。
乗客は13人のクリスチャンで、
定員は8人でしたが、
幸いなことに皆ユーモアのある旅仲間で
この居心地の悪さは3、4駅の間しか続きませんでした。
僕らの旅路は想像し得る通りとても変化に富んでおり
牧歌的風景もあれば荒野もあり、
ダンフリースやその何マイルも先では
ローランドの贅沢な美しさとハイランドの雄大さが入り混じっていました。
その後、風景はより荒々しく寂しいものになります。
今まで見たことのないような茫漠たる荒野が広がり、
その風景を乱すのはところどころに姿を見せる岩や巨石だけです。
ウィグタウンに着いたのは夜で、
10時間の長旅に疲れた僕らにとって、
ホテルで休めることがありがたかったです。
このリフレッシュは僕らの身体が必要としていたものでした。


翌朝、旅立つ前に僕らは街を散策しました。
鉄道と海沿いの美しい街で
高貴な場所です。
ウィグタウンはとても美しく整備されており、
素晴らしい中心広場には花が植えられ、
テニスコートと散歩道があります。
変なことを言うようですが、
スコットランドでも珍しい、この自治都市を象徴する美しい広場は
以前は街のごみ捨て場だったそうです。

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A・バーナード
1887年刊
蒸留所探訪記
"The Whisky Distilleries of the United Kingdom"翻訳ブログ

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