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ボーネス 3 [ローランド]

主要なタンルーム(醸造棟)の下部は特許式の酵母室になっています。
とても大規模な施設で、大きな利益を生み出す部門でもあります。
醸造桶の酵母は、ここにある3つのタンクへと収容されます。
そして、これらの酵母の上澄みはドイツが特許を持つ
アコーディオン型の鋼鉄製プレス機へと汲み上げられます。
この機械は12の可動部あるいは交差部分があり、
酵母には非常に高い圧力が掛かります。
最後の交差部分から排出されるパン生地のような物質は
集約されて目の細かいこし器を通り、
その漉し出された液体はタンクへ収容されます。
こし器に残された酵母は小麦粉のようになっており、
その後7ポンド(約3.1キログラム)、14ポンド(約6.3キログラム)、
あるいは28ポンド(約12.7キログラム)に計量され、
円錐状の袋に詰め込まれ、イングランドとドイツへ送られます。


マッシュハウス(糖化棟)の隣りは機関室です。
50馬力の水平エンジンがあり、
他に2台の9馬力エンジンがあります。
そして、長さ20フィート(約6メートル)
直径7フィート(約2.1メートル)の蒸気エンジンが6台、
ポンプが9台があります。
この内の1台は三連クランクポンプで、
ウォッシュ(もろみ)をスティル(蒸留釜)へ汲み上げる際に使用します。
さらに隣接しているのが倉庫とクーパレッジ(制樽作業場)で、
厩舎と馬車庫などの建物もあります。
門の外側の、道路の反対側には2棟の保税倉庫があります。
寸法は長さ150フィート(約45.7メートル)
幅120フィート(約36.5メートル)で
5千樽のウイスキーを貯蔵中です。
敷地の端にはもろみ粕を貯める巨大なタンクが2槽あります。
ここで排出された液体は
専用のエンジンがより高い位置にあるタンクへと汲み上げ、
農夫たちが運んで行きます。
後に残された粕は袋に詰められ酪農家たちに販売されます。
中にはアイルランドへ送られるものもあります。
蒸留所長の邸宅は、以前は蒸留責任者が使っていましたが、
とても美しい場所です。
素敵な庭園などがあり、敷地と隣接しています。
ここ最近で設備や建物に対して重要な増設が施されており、
新たなモルト用のキルン、グレーン倉庫、グレーン搬送設備などが導入されました。
グレーン倉庫は「ビン」原則に沿っており、
グレーンを収容したり排出する機械はアローアのR・G・アバクロンビー氏(訳注1)による設計です。
彼の設計により、ボーネス蒸留所(訳注2)の設備は
様々な建物が分散しているにも関わらず(奇異な立地のせいで)、
それを克服する為の特別な仕掛けや、
様々なエレベーター、スクリュー、シュートなどの奇抜なディテールによって
とても完成度の高いものになっています。
グレーンを敷地内で搬送するのは
「重力」によるシステムです。
高い所からエレベーターでグレーンを下ろすのは重力で、
鉄製のシュートを伝って建物の様々な場所へ送られ、
「ビン」からエレベーターへ送る箇所以外はスクリューは使われていません。
蒸留所には40名の従業員がおり、
5名の税務官がいます。
主席税務官はウィリアム・ロス氏です。


製造しているのは純粋なグレーン・ウイスキーで、
主にスコットランドで販売されています。
年間生産量は87万ガロン(約3千955キロリットル)です。



訳注1

アバクロさんについては、
前述のバンキール3をご参照ください。


訳注2

こちらの本によりますと、

The Scottish Whisky Distilleries: For the Whisky Enthusiast

The Scottish Whisky Distilleries: For the Whisky Enthusiast

  • 作者: Misako Udo
  • 出版社/メーカー: Distillery Cat Publishing
  • 発売日: 2005/07
  • メディア: ペーパーバック


ボーネス蒸留所は1925年に閉鎖され、
1990年に火事により消失しています。

スクリーンショット 2017-09-29 21.44.23.png
古地図リンク



【管理人追記】
ちょっと別件でニッカウイスキーの竹鶴ノート関連のページ見てたら気づいたんですけど、
http://www.nikka.com/80th/sp/story/note/
竹鶴さんは、グレーンウイスキーの製造については
こちらで研修していたらしいのですね!

ってことは、
ニッカ・カフェグレーンには
こちらの蒸留所がインスピレーションを与えていたかも知れませんよ〜〜!?


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A・バーナード
1887年刊
蒸留所探訪記
"The Whisky Distilleries of the United Kingdom"翻訳ブログ

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