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セント・マグデラン 2 [ローランド]

蒸留所の建物は全て囲いの中にあり、石造りです。
エディンバラ通りに面した巨大な門が入り口ですが、
波止場近くには裏門があり、
運河で貨物を搬送する際に使用します。
蒸留所敷地の前にある古めかしく美しい邸宅は、
最初の経営者の住居でしたが今はオフィスに改装され、
共同経営者、蒸留所責任者、醸造責任者、税務官たちが使用しています。
僕らが到着すると、
親切な蒸留所責任者アレクサンダー・カー氏が案内人となり、
まずは蒸留所入り口の右手に位置する、
西制麦場へと連れて行ってくれました。
とても背の高い建物で、
寸法は長さ124フィート(約37.7メートル)
幅75フィート(約22.8メートル)で、
5階建てです。
最上階は穀物倉庫として使用されており、
その下はモルティングフロアが2階層あり、
二階と地上階は免税の熟成庫です。
僕らの訪問時、穀物倉庫には、
4千クオーターの大麦が貯蔵されていました。
二馬力のガスエンジンが
この階へ大麦を送る巻き上げ機の動力となっています。
下階層にある制麦場から屋外の連絡通路を伝って
上階の部門へ達することが出来ます。
制麦場の階層には一度に130クオーターを浸麦可能なスティープ(浸麦槽)があり、
床に埋設されています。
よって作業員は大麦を持ち上げることなく、
スティープへかき入れることが出来ます。
地面が急峻にそそり立つ運河の南側にある原野の貯水池の水が供給されていますが、
必要があれば
西制麦場屋上のタンクの水も使用することが出来ます。
実際には、敷地内に水を随意に循環させることも可能です。
この制麦場に付随するキルン(乾燥塔)は長さ60フィート(約18.2メートル)
幅37フィート(約11.2メートル)で、
ワイヤーを編んだ床になっています。
加熱炉は2台あり、一度に1千300ブッシェルのモルトを乾燥することが出来ます。
燃料はピートとコークスを定められた割合で混合しています。
ピートはフォルカーク北部のスラマナン周辺の湿原で採取しています。


僕らの案内人は次に蒸留所入り口の左手に位置する、
東制麦場へ導いてくれました。
前述の施設より規模は小さいですが、
建物は4階建てで、運河側と中庭側の2つの入り口があります。
中庭側には傾斜した地面に沿った形を取る
大きな外階段があり、6階建の高さまで続き、
その上には前述のようなタンクを頂いています。
隣接するプラットフォーム上から
蒸留所の経営者の一人だった故ドーソン市長の未亡人の住居、
ボニータウンの邸宅やその領地など
周辺地域の美しい景色を眺めることが出来ました。
ここで本題に戻りますが、
東側の制麦場も西側と同様に、
穀物倉庫と二面のモルティングフロアがありますが、
階下にある免税倉庫は一階層のみです。
穀物倉庫には、
僕らの訪問時は1千5百クオーターの大麦が貯蔵されていました。
スティープ(浸麦槽)は一度に85クオーターを浸麦出来ます。
キルン(乾燥塔)の寸法は、
37フィート(約11.2メートル)×
36フィート(約10.9メートル)で、
こちらの床もワイヤーの網になっており、
一度に850ブッシェルのモルトを乾燥することが出来ます。
このキルンからモルトはベルトコンベヤーでモルト貯蔵庫へと運搬されます。
このように大規模な制麦設備があるにも関わらず、
糖化工程のペースに追いつくことが出来ません。
よって、夏の間に休みなく制麦を続けることで、
3万ブッシェルの蓄えを手元に作り
蒸留シーズンを迎える必要があります。
最盛期は一週間で3千600ブッシェルを糖化すると言いますが、
僕らの訪問時は3千400ブッシェルでした。
キルンがもう1塔ありますが、
これは大麦の乾燥にのみ使用されています。


ミル(粉砕室)は正面入り口の近くに位置しており、
機関室とマッシュハウス(糖化棟)の間にあります。
2対のモルトローラーがあり、
蒸気を動力としています。
粉砕されたモルトはエレベーターで上層階へ運ばれ、
そこで様々な種類に応じて袋詰めにされます。
マッシュタン(糖化槽)上部のホッパー が直に隣接しており、
モルト貯蔵庫も同じ階層にあります。

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A・バーナード
1887年刊
蒸留所探訪記
"The Whisky Distilleries of the United Kingdom"翻訳ブログ

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