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カークリストン 1 [ローランド]

この蒸留所へ向かう為に
僕らはウェーバリー駅から早朝の列車に乗り込みました。
そして30分後、カークリストン駅に到着しました。
エディンバラから8マイル(約12.8キロメートル)の距離にある可愛らしい村は、
アーモンド川のほとりにあります。
この川は蒸留所の側を流れ、カークリストンの村へ至ります。
僕らはスコットランドで最も古いと言われれている教会を訪れました。
この歴史的建造物はサー・ウォルター・スコットの小説、
「ランマームーアの花嫁」によってとても有名になりました。
ステアー伯爵家の地下墓所には
悲運のルーシー・アシュトンのモデルになった、
ジャネット・ダルリンプルが埋葬されています。


墓所のある高みからは
目をみはるような周辺地域の景色を見下ろすことが出来ます。
ニューリストン領地の緑地を含め、
以前はステアー伯爵の土地でした。
この土地はステアー伯爵によって、
木々の群生地や木々の塊が形作られ
デッティンゲンの戦い前夜のイングランド軍の陣形が再現されており、
とても興味深い光景です。
茂みや木々は美しく剪定され、
隊列の整ったアン女王の兵隊を表しています。
教会の2マイル(約3.2キロメートル)先にはニドリー城があります。
メアリー女王がロッホリーブンを逃れた際の退避場所です。
別の方向にはエドワード王バノックバーンへ向かう途中に兵を休めたという丘があり、
その先はファイフの沿岸で、背景にはオヒルの丘が見えています。


僕らは、村の外れに位置する丘の麓の蒸留所へと向かいました。
ここまで来るとアーモンド川が見えてきます。
蒸留所の少し先の上方では、
川は急峻な土手と美しい景色に囲まれていますが、
カークリストンに近付くに連れて、
穏やかでありふれた風景になります。
この蒸留所の敷地面積は12エーカー(約4万8千平方メートル)で、
前世紀の終わりから存在していますが、
1825年に大規模な増築が行われ設備が改善されました。
敷地は以前、ジョン・スチュアート氏とその経営会社による所有でした。
氏は、1855年にブキャナン氏とその経営会社から土地を買い入れました。
当時、蒸留所は一週間で2千ガロン(約9キロリットル)を製造していましたが、
現在は最盛期には2万ガロン(約90キロリットル)を製造することが可能です。
1878年にディスティラーズ・カンパニー社訳注1)の所有となり、
スチュアート氏は取締役として残留し、
息子のJ・C・スチュアート氏が副責任者として業務を補助しています。
蒸留所で使用している水には、
クレイグマイエレン川とハンビー川という2つの水源があります。
これらの川の水は蒸留所上方の2つの貯水池に集約されています。
この内の1つ、ハンビー貯水池は面積が8エーカー(約3万2千平方メートル)あり、
もう一方のカークリストン貯水池は2エーカー(約8千平方メートル)です。


蒸留所の敷地に直接敷かれた鉄道の引き込み線があり、
穀物を運ぶ貨物車の中身は主要な倉庫の入り口で
半円形の鋼鉄製のタンクへと空けられます。
この倉庫から、2基のエレベーターによって
決められた貯蔵場所へと搬送されます。
エレベーターは深さ3フィート(約90センチメートル)に埋設されたトンネル内を通っており、
さらに建物の屋上や中庭を横切って敷設されています。
僕らが蒸留所内を見学している際、
これらエレベーターの籠を常に目にしていました。
蒸留所の敷地を斜めに横切ってエレベーターの通路(訳注2)が敷設されています。



訳注1
現在のディアジオ社のこと



訳注2

次回の項目に出てきますが、
このプラットフォームみたいなのが
「エレベーター」なる運搬設備なのかな?
kirkliston_elevator.jpg
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A・バーナード
1887年刊
蒸留所探訪記
"The Whisky Distilleries of the United Kingdom"翻訳ブログ

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