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アナンデール 1 [ローランド]

ダンフリースで休憩し、
リフレッシュした僕らは
南方面への旅を再開し、
アナンデールの首都アナンに立ち寄りました。
ダンフリースからカーライルへ向かう幹線道路沿いにある勅許自治都市で、
僕らがローランドで見てきた中で最も美しく整った、
最も居心地の良い街です。


蒸留所がその名を冠するアナンデールとは
アナン川の流域のことです。
アナン川は皆からはよく「アナンデールのくわ」と呼ばれており
アナンデールは
スコットランドの中で最も庭園を彷彿とさせる地域と言われています。
柔らかで明るい風景の中で
木の葉の緑は贅沢に濃く重なり合い、
豊かな緑に覆われた放牧地は
谷の景観をイングランドに寄せています。
アナン川の水源はハートフェル山地にあり、
この谷を30マイル(約48.2メートル)に渡って流れ、
ソルウェイ湾へ注ぎます。
僕らは1マイル半(約2.4キロメートル)の距離をホテルから蒸留所まで馬車に乗りました。
美しい田舎道を通り、
私道の馬車道へと逸れてアナン・バーンに架かる橋を渡り
蒸留所へ至る門の前に到着しました。


アナンデール蒸留所は、アナンからは近距離にあり
木々に囲まれた絵のように美しい環境にある場所です。
敷地は正方形を成し中央部は小さな中庭となっています。
蒸留所へは、スライド式の門扉を経て入場します。
蒸留に用いる水は、アナンの街が所有する、
丘の上を流れるミドルビー川を水源としています。
しかし、水車などを回す水は
蒸留所近辺を勢いよく流れる小川からやってきます。


蒸留所は以前、税務官ジョージ・ドナルド氏の所有でした。
創立は1830年で、40年に渡り現地に在住していました。
1883年、リバープールのJ・S・ガードナー氏が土地の所有権を借り受け、
旧式な機械を含め建物全てを取り壊し、
新たな設備や蒸留に必要な最新の技術を投入し、
蒸留所を再構成しました。


ガードナー氏はリバープールの前市長の子息です。
父の死後、十分な資産とともに現地で抱えていた商売から引退していました。
人生を通して活動的な思考と飽くことのない産業への興味を持っていた彼は、
何か活動に従事したいと言う思いから、
蒸留所とワーマンビーの所有地が市場に出された時、
リース権を獲得し、適任な職務にも就いたのです。


僕らはこの小規模な蒸留所で楽しい午後を過ごしました。
ガードナー氏自身が僕らの案内人となり、
まずは蒸留所背後の丘の斜面の上方に位置する
農地を案内してくれました。
とても模範的な農場で、
牛小屋、豚小屋、馬小屋が正方形の中庭を囲んでいます。
僕らは20頭以上の素晴らしい牛が出荷を待つ様を見ました。
さらに、多数の豚もおり、
全て蒸留所から排出されるドラフや飼料を与えられています。
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A・バーナード
1887年刊
蒸留所探訪記
"The Whisky Distilleries of the United Kingdom"翻訳ブログ

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