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ランガム 1 [ローランド]

アナンを出発し、僕らはカーライル訳注1)へ向かいました。
次の数日間、カーライルの「クラウン・アンド・マイター」ホテルに宿泊し、
安価な料金で快適な時間を過ごすことが出来ました。


翌日僕らはランガムへと出発しました。
素晴らしい田園風景を通過し、
エスクデールに至る頃には
ただただ美しい光景となっていました。
道の両側でエスク川の河岸からそびえる丘は豊かな木々に覆われ、
高貴な川は迫り来る傾斜地の中を蛇行しています。
ランガムはスコットランドで
最も素晴らしい風景の中にある街です。
街の旧市街はエスク川の東岸にあり、
新市街は西岸にあります。


その昔、ランガムの街は
ブランクス」(訳注2)と呼ばれる鉄製器具を保有していることで有名でした。
これは口やかましい女性の頭部に取り付けるもので、
鋭い突起が口の中に入るので喋ることが出来なくなります。
ガミガミ怒る妻に悩まされる夫は、
器具を付けた妻に市中を歩かせました。
この伝統は宗教改革を物ともしなかったと言います。
僕らはまずラングホーム蒸留所へ向かいました。
さらに、数マイル先の次の目的地のグレンタラス蒸留所も訪れました。


僕らの道のりは川沿いの奥まった場所を行き、
上を見ても下を見ても道が曲がる度に
新たな興味深い風景を示してくれました。
ある時は岩と石の間を疾走していたかと思えば、
次は海に向かって着実に下り坂を進んでいました。


「谷はまるでエデンの園の天使のよう
 空は輝き、川の流れは柔らかい
その音楽は薫風に浮き上がり
正にその空気は眠た気に流れ
最高に美しい花々が谷を覆い尽くす」


蒸留所はエスク川に突き出した岩の上に建てられており、
どこから見ても絵のようにとても美しい景観となっています。
建物は堅固な石造りで、
幹線道路に面していますが
蒸留所の壁を洗う川にも接しています。
1765年の設立以降、幾つかの改装が行われていますが、
現世代が生まれる遥か以前から
ウイスキーが製造されていたことが容易に分かります。
現在の経営者、アーサー・コネル氏と彼の家族が
60年の長きに渡って蒸留所を所有してきた一方で、
所長のキャベル氏はそれ以上の長い期間蒸留所に関わってきました。



訳注1

カーライルって、
国境(?)近くの街だけどイングランドにあるんですね!
WDUKスコットランド編もあと少しで終わりです〜。
次はアイルランド編ですよ! 



訳注2

Wikipedia先生によると、
要するに拷問器具のようですよ!
おそろしあん!
魔女裁判にも用いられたようです。

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A・バーナード
1887年刊
蒸留所探訪記
"The Whisky Distilleries of the United Kingdom"翻訳ブログ

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