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ランガム 2 [ローランド]

ランガム蒸留所(訳注)の事務所を訪れると、
所内には見学出来る穀物倉庫や制麦場がないことを
所長から告げられました。
なぜなら、モルトは全て
ハディントンシャー
著名な制麦業者、バーナード社が供給しているからというのです。
というわけで僕らはまず麦芽倉庫を訪れました。
綺麗に整備された石造りの建物で、
寸法は50フィート(約15.2メートル)四方、
敷地のほぼ中心部に位置していますが、
内部は薄暗く、麦芽倉庫という目的に適っています。


階下は粉砕室で、
モルトローラー1対と水力で駆動する機械部分を備えています。
次に僕らは糖化棟と蒸留棟が一体となった建物を訪れました。
古めかしい建物ですが、床は舗装されており、
全ての器材が揃っています。
この建物には2基の温水加熱タンクがあり、
各々の容量は1000ガロン(約4.54キロリットル)です。
マッシュタン(糖化槽)は直径13フィート(約3.9メートル)
深さ5フィート(約1.5メートル)で、
アンダーバックも同様の寸法となっています。
そして、棟内の蒸留部門の側には
ヘンダーソン・アンド・ターンブル社の冷却機があります。
戸口を抜けるとその先は醸造室で、
木製のウォッシュバック(醸造槽)が幾槽かと
容量8000ガロン(約36.3キロリットル)のウォッシュチャージャーがあります。


蒸留棟に戻ると、
3基の旧式ポットスティル(蒸留釜)を見学しました。
ウォッシュスティル(初留釜)の容量は1800ガロン(約8.18キロリットル)で、
2基のスピリットスティル(再留釜)の容量は
586ガロン(約2.66キロリットル)と316ガロン(約1.43キロリットル)です。
レシーバー室へ向かう途中、
小規模なクーパレッジ(制樽作業場)と樽倉庫の前を通過し、
川の上に突き出した岩場へやって来ました。
ここからは蒸留所の水を用いた設備の全景を見渡すことが出来る上、
木々に覆われた川の対岸や
ランガムの街の一部も眺めることが出来ます。
緑や茶色の様々な色合いが眼前に広がり、
絵描きならば大いに喜んで
この忘れ得ぬ景色を描いたことでしょう。
レヒーバー室には
ローワイン/フェインツレシーバー
スピリットレシーバー、そしてセーフがあります。
道の反対側はスピリットストア(樽詰室)で、
これも古めかしい建物ですが、容量998ガロン(約4.53キロリットル)のヴァットがあります。
キャンベル氏の後に続き、
20棟ある熟成庫の内の数棟を見学しました。
僕らの訪問時、1876年蒸留のものも含め
12万1300ガロン(約551.4キロリットル)のウイスキーを貯蔵していました。


3槽のワームタブが川の桟橋の上に設置されており、
水は巨大な水車によって汲み上げられています。
蒸留所の動力は全て水力で賄われており、
一枚岩を切り出した運河によって川の流れが敷地内に引き込まれています。
仕込み水は蒸留所から1.5マイル(約2.4キロメートル)ほどの場所にある
著名なウィタウェル・ヒルの泉の水を使用しています。

製造しているのは純粋なモルトウイスキーですが、
老齢の所長によると
年間一定量のバーチ・ウイスキーも生産しているそうで、
その作り方は所長の父親秘伝のものだということです。
モルトウィスキーはブレンド用で、
風味豊かで香りは穏やかです。
ウイスキー単体でも販売されており、
主にイングランドで消費されているということです。
年間生産量は4万6000ガロン(約209キロリットル)です。




訳注

こちらの本によりますと、
ランガム蒸留所は1917年に閉鎖され、
その後取り壊されています。


The Scottish Whisky Distilleries 2007: For the Whisky Enthusiast

The Scottish Whisky Distilleries 2007: For the Whisky Enthusiast

  • 作者: Misako Udo
  • 出版社/メーカー: Black and White Publishing
  • 発売日: 2006/10/31
  • メディア: ハードカバー




古地図リンク
langholm.jpg
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A・バーナード
1887年刊
蒸留所探訪記
"The Whisky Distilleries of the United Kingdom"翻訳ブログ

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